「Editorial (=編集者の)」に込められた、髭男の想いとは?
「周りのヒゲダン好きに刺さる情報が欲しい!」
「ヒゲダンのアルバムのことをもっと知りたい!」
そんな方のために、この記事では最新アルバム「Editorial」の情報や考察、楽曲を紹介していきます!
ぜひ最後までご覧ください!!
Official髭男dism「Editorial」はどんなアルバム?
「Editorial」(読み方:エディトリアル) は、2021年8月18日にリリースされた、通算3枚目のフルアルバムです。
シングル表題曲の『I LOVE…』や『Cry Baby』といった既出曲6曲に『アポトーシス』『ペンディング・マシーン』などの8曲を加えた全14曲が収録されています。
そして、「Editorial」は今まで以上に、髭男のチャレンジングな姿勢を感じることのできるアルバムとなっています。
例えば、1曲目『Editorial』ではエフェクトのかかったコーラスによるアカペラ、8曲目『みどりの雨避け』ではノスタルジックなボサノヴァ、10曲目『ペンディング・マシーン』ではファンクナンバー。
このように、新しいことに挑戦し続け、それらを絶妙なバランスで「ヒゲダン色」に落とす。
そんな、実力と進化をダイレクトに感じるアルバムとなっています。
Official髭男dism「Editorial」に込められた意味
「Editorial」とは日本語で、「編集者の」「編集の」「社説の」を意味します。
「編集」とはざっくり言うと、素材を整理してまとめることです。書籍やテレビ番組のイメージが強いですね。
はてさて。ここで言う「編集」とは一体何を指すのでしょう。
パッと出てくるのは、
「2020、2021年に人気を博した曲をアルバムに収録したこと」=「編集」
だと思います。
なるほど確かに、既出曲6曲はどれもタイアップ曲ですし、どれも皆さん一度は聴いたことのある楽曲です。
そんな豪華なセトリを組んだことを「Editorial」と表現した…。
なんだか、判然としませんよね…。その意味も込められているかもしれませんが、それだけではないような気がします。
そこで、筆者自身、検索と考察を重ねました。その結果、「Editorial」は次のような意味が込められているのではないかと結論づけました。
このアルバムを、まるで自分たちの価値観や想い、信念を綴った1冊のエッセイ本のように捉え、「Editorial」と表現した
つまり、このアルバムは「音楽性」や「どれだけの人に認められるか」よりも、「自分たちの想い」を重要視して制作したアルバムだ。いわば「聴くエッセイ」。そんなエッセイを作った私たちは編集者なんだ、ということを「Editorial」と表現したのだと考えました。
こう考えた根拠は、「インタビューでの発言」です。
詳しく解説していきます。
インタビューでの発言
「Editorial」の制作にあたって、彼らは自身のインタビューで次のように語っています。
バンドとしてサクセスストーリーみたいなものを一通り経験させてもらったので、もちろんすごく嬉しかったんだけど、その先に何ができるのか?みたいなときに、音楽を社会的にどれだけ認められるかとかっていう話ではなくって、どれだけ自分たち自身がまず満足できるものが作れるのかっていうところを大事にしないといけない、それをやらないとすごく不健全っていうか、育ちにくくなってしまうっていうのが一番嫌だなみたいなことをよく話してたから。このアルバムを通して、4人でより長くクリエイティヴに活動を続けていくために大事なものは何か、チームで見つけ出すことに成功したかなというような感覚があります。
https://editorial.ponycanyon.co.jp/interview/
ここから、このアルバムの制作は、Official髭男dismというバンドとしての「あり方の再認識」が出発点だったように推察できます。
また、同インタビューの中で、12曲目『Laughter』について、藤原聡は次のように語っています。
この曲作れたのは本当に僕、人生の中で宝だなって思ってます。他の曲ももちろん全部そうなんだけど、なんかすごく自分の歩んできた人生を自分で肯定、しっかりできたかなと。で、それが誰か、聴き手にとってもそうだったりすることがあるっていうことが奇跡だなと思ってて、ほんとに嬉しいですね。これはこのアルバムにとっても意味のあるというか、基本理念になったかなと思います。
https://editorial.ponycanyon.co.jp/interview/
ここからわかることは、
このアルバムの基本理念は、「自分の日頃の想いや人生の価値観を肯定した上で、聴き手も同じように響くような音楽を作る」という奇跡を目指すこと
です。
アルバムの「目的」は何か
これらの発言から、このアルバムの目的は次の2つなのではないかと考えました。
- ヒゲダン自身が、自分たちのバンドとしてのあり方・信念を再認識すること
- 日頃の想いや人生の価値観を伝え、聴き手に響くような音楽を作ること
この目的によって、『Cry Baby』などに見られる、挑戦的とも言える音楽の追求や、『Laughter』などの私たちにも刺さる歌詞があったわけですね。
それは、「楽曲を作る」というより「エッセイを綴る」方が感覚的に近いのかな、とさえ思えるほどパーソナルな動機です。
しかし、2thアルバム「Traveler」以降多忙の日々を過ごしたヒゲダンにとって、必要な動機だったのだと思います。
1曲目『Editorial』の歌詞
実際に、アルバム1曲目『Editorital』の歌詞に、次のような一節があります。
伝えたい だけど語れない
そんなこの気持ちの後先を
ここにだけ書き記す
だけど上手く書けず喜んでる
そっちの方が幸せだから
Official髭男dism – Editorial
「想いを伝えたいけど、うまく言葉にできない。だから、この気持ちをここに書き記した。」
歌詞の「ここ」とは、このアルバム「Editorial」のこと。つまり、このアルバムで届けたいのは「想い」なのです。
また、後半2行は、Apple Musicでのインタビューのこの発言がその真意なのだと思います。
プロフェッショナルなんて言葉が似合わないほど泥臭くて、要領悪くて、本当にミスばっかして、やっと自分たちの一番理想的だと思う形を作る、みたいなバンドなんです。時間もかかるし。だからこそやる意味がある、だからこそ音楽にずっと夢中なんだろうな、という思いを歌詞にしました
https://music.apple.com/jp/album/editorial/1578260038
来年で結成10周年を迎えるヒゲダンが、ブレずに抱いていた信念、それは「自分たちの一番理想的だと思う形を作る」ということです。前述のインタビューとも重なりますよね。
もちろんこのアルバムでもそれは揺るがない。きっとこれからも。それは、「そっちの方が幸せだから」です。
まとめると、『Editorial』の歌詞 (この一節のみ取り上げましたが、歌詞全体を通してメッセージは概ね変わりません) で伝えたかったことは、
このアルバムでは、うまく言葉にできない自分たちの想いや価値観を形にした。そしてこのアルバムは、泥臭く、でも夢中になって作ったものだ。それは、「自分たちの一番理想的だと思う形を作る」という信念があるから。
だと解釈しました。
これは、先ほどの「アルバムの目的」と重なるところがありませんか。
まとめ
冒頭でも書きましたが、「Editorial」というアルバムタイトルに込められた意味とは、
このアルバムを、まるで自分たちの価値観や想い、信念を綴った1冊のエッセイ本のように捉え、「Editorial」と表現した
であると結論づけました。
それは、このアルバムの目的が
- ヒゲダン自身が、自分たちのバンドとしてのあり方・信念を再認識すること
- 日頃の想いや人生の価値観を伝え、聴き手に響くような音楽を作ること
であることが理由です。
その理由を裏付けるのが、先ほどのインタビューや、1曲目『Editorial』の歌詞ということです。
このパーソナルな動機で作られたこのアルバムを、まるで「髭男のエッセイ本」のように捉え、自分たちはその編集者だと考え「Editorial」と表現したのではないか。
そう考えて、このように結論づけました。
Official髭男dism「Editorial」の収録曲を全曲紹介
ここからは、「Editorial」の収録曲を紹介していきます!
全曲視聴可能ですので、気になった方はまずは気軽に聴いてみてください。
1. Editorial
アルバムタイトルにもなっている楽曲。
多種多様なエフェクトがかかった複数のコーラスによる2分強のアカペラです。心が浄化されるような、優しい気持ちになるような、そんな楽曲です。
2. アポトーシス
APPLE MUSICのCMソング。6分30秒とJ-POPの中では時間の長い楽曲ですが、マジであっという間に1曲聴いてしまいます。
厚みのあるサウンドと藤原聡ののびのある歌声による満足感がとてつもないです。
3. I LOVE…
TBS系 火曜ドラマ「恋はつづくよどこまでも」主題歌。
ゆったりしたテンポ、美しいシンセ・ピアノのサウンド、そして展開の多いアレンジ。これらが、まるで宇宙旅行に連れていかれたかのような壮大さを生み出しています。
4. フィラメント
ドラムの松浦匡希が初めて作詞曲に携わった楽曲。我々リスナーを前へ前へ進めようとするような楽曲。聴くだけでなんだか元気がみなぎります。
5. HELLO
フジテレビ系 「めざましテレビ」テーマソング。ジャズにも使われるシャッフルビート (跳ねるリズム) が用いられていて、聴いていてとても楽しいです。
カラオケ向けの曲だと思います。歌えるかは別として。
6. Cry Baby
テレビアニメ「東京リベンジャーズ」オープニングテーマ。
この曲は転調がめちゃくちゃ多いのは有名な話ですが、それによって独特の浮遊感と怒涛の展開が生まれています。
ちなみに、この楽曲の転調の回数が「東京リベンジャーズ」のタイムリープの回数と一致しているとも言われています。それが本当ならヒゲダンの作品愛を感じますよね。
7. Shower
アコースティックサウンドと儚く切ないメロディによるバラード曲。
後半に進むにつれ、サウンドが壮大になっていくのも、胸にグッとくるものがあります。
8. みどりの雨避け
カフェや雑貨屋で流れていそうな、優しいボサノヴァ調の楽曲。
サウンドもアコースティックで、ボーカルの甘い歌声と合わさってすごく落ち着きます。
9. パラボラ
アサヒ飲料「カルピスウォーター」CMソング。
筆者はこの曲を初めて聴いた時、音の使い方が面白いなと感じました。
トラップミュージックで使われる鋭く細かいハイハットにジャズオルガン、推進力の強いバスドラムなどが、絶妙な配分で組み合わさることでこんな化学反応が起こるとは。面白いアレンジです。
10. ペンディング・マシーン
「ペンディング」とは「保留」という意味。
「Vending machine (自動販売機)」と響きが非常に似ていますが、直接的な関係は特にありません。音の響きが心地よい単語ですよね。
80年代のファンクを彷彿とさせるトラックと音のハマり方が心地よいメロディがめちゃくちゃ乗れます。
特にベースが個人的に好き。ベースだけでご飯3杯いけます。
11. Bedroom Talk
R&Bやシティポップの風を感じる、オシャレなラブソング。タイトルの通り、夜に聴きたいですね。
ワウギターに爽やかなアコギにモコモコしたベース。とにかくサウンドがオシャレ。
この曲が好きな人にはぜひ LUCKY TAPES も聴いてみてほしいです。
12. Laughter
映画「コンフィデンスマンJP -プリンセス編-」主題歌。
このアルバムでは珍しく、ストリングスが際立った楽曲です。
このストリングスと、情感にあふれたボーカルによって、壮大で感動的な楽曲に仕上がっています。
13. Universe
映画「ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021」主題歌。
リズムやコード、サウンドのどれをとっても、温かみがあって楽しいものになっています。
ラスサビの「ユニバース」の、余裕すら感じる藤原聡の hiD(地声) が異次元レベルで凄いです。
14. Lost In My Room
柔らかなファルセットと浮遊感のあるメロウなサウンドが心地よい楽曲。
様々な音が行き来するシティー感あふれる楽曲ですが、どこか近しさを感じます。
このオシャレさと親近感のバランスが髭男の良さですよね。
おわりに
いかがでしたか?友達に話したくなるような「Editorial」の情報は得られましたでしょうか?
興味の持った楽曲は、ぜひご自身のストリーミングサービスでダウンロードするか、CDを買って聴きまくってください!
Twitterでも音楽に関する情報を発信しています。フォローしていただけると嬉しいです…!
最後まで見ていただきありがとうございました!!