大ヒットの裏には「3つの要因」があった!?
今や国民の2人に1人はキングヌーの沼にハマっていると言っても過言ではありません。そんな King Gnu がリリースしたアルバム「CEREMONY」は、2020年を代表する名盤です。
この記事では、その「CEREMONY」がなぜここまでの大ヒットを記録したのか、そして興味深い特徴について解説していきます。
後半の楽曲解説では全曲を視聴できますので、ぜひ最後までご覧ください!!
King Gnu「CEREMONY」はどんなアルバム?
「CEREMONY」(読み方:セレモニー) は、2020年1月15日にリリースされた3枚目のアルバムです。
歴史的大ヒットを記録した『白日』や、ブルボン「アルフォート」のCMソングである『傘』など、計12曲が収録されています。
オリコンチャートによると、「CEREMONY」は初週23.8万枚、3.0万DLを売り上げ、週間アルバムランキングおよびデジタルアルバムランキングの2部門で1位を獲得しました。
また、オリコン年間アルバムランキングでは6位を獲得するなど、輝かしい成績を収めています。
King Gnu「CEREMONY」が驚異的な売上を叩き出した理由
前述の通り、「CEREMONY」はオリコン年間アルバムランキングでは6位を獲得するなど、驚異的な記録を叩き出しています。前作「Sympa」のオリコン年間アルバムランキングが最高61位だったことを考慮すると、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いだったことがわかります。
ではなぜ、King Gnu はここまでの急加速を見せたのでしょう?その原因として、筆者は次の3つが挙げられると考えました。
- 白日の大ヒット
- YouTubeのMV戦略
- メンバーのキャラクター
1つずつ解説していきます。
白日の大ヒット
『白日』が大ヒットし、千鳥のノブさんが例えに使ったのも記憶に新しいでしょう。
『白日』は、日本テレビ系 土曜ドラマ「イノセンス 免罪弁護士」の主題歌として書き下ろされた楽曲です。
2019年2月28日にMVが公開されるなり、そのレベルの高い楽曲やモノクロの映像が話題を呼び、多くの人を魅了しました。
その結果、2019年12月時点でMV再生回数がおよそ1億回を突破するなど、言わずと知れた大ヒットとなり、その年の紅白歌合戦で『白日』を披露しました。
結果として、この曲が「King Gnu」の認知を大幅に広げたことにより、多くの人の関心を集めました。
そして、彼らをKing Gnuのファンに育て上げた主な要因が、次に解説する「YouTubeのMV戦略」と「メンバーのキャラクター」なのです。
これらが最終的に、「CEREMONY」の大ヒットをもたらしたのだと考えられます。
YouTubeのMV戦略
ある楽曲を聴いて、そのアーティストに興味を持ったリスナーが次にする行動には次の4種類があると推測できます。
- 他の楽曲を聴いてみる
- アーティストの情報を調べる
- SNSでつぶやく
- 友人や家族に勧める
King Gnuは、これらの二次行動に対しても非常に優秀だと思います。
「YouTubeのMV」がその良い例で、King Gnuは『白日』のMVが公開される前にも、『Slumberland』や『Vinyl』など、King Gnu名義でMVを8曲も公開していました。
それだけでなく、2019年5月16日には『The hole』、8月22日には『飛行艇』、11月15日には『傘』と、次々とMVを公開していきました。
これらが『白日』を聴いた(観た)リスナーがKing Gnuをもっと知るための導線となり、その音楽性を受け取ることとなります。つまり「沼る」ということですね。
さらに、アルバムリリース6日前の2020年1月9日には新たに『Teenager Forever』のMVを公開。「CEREMONY」へのボルテージを高めました。
このように、MVを積極的に制作してYouTubeにアップロードすることで、ストリーミングサービスやCDで音楽をあまり聴かない層にもアプローチでき、さらにファンも熱気を冷ますことなく楽しめるというメリットをもたらしました。
メンバーのキャラクター
『白日』を聴いたリスナーを一気に沼らせたもう一つの要因として、メンバーの個性的なキャラクターが挙げられます。
そのキャラクター・人間性が好きになってファンになるだけでなく、それがSNSや口コミで拡散された結果、さらに多くの人を興味の渦に巻き込むこととなりました。
例えば、
- 常田大希と井口理は東京藝術大学出身
- 新井和輝は名門学生ジャズバンド「NEWTIDE JAZZ ORCHESTRA」に参加し、山野ビッグバンドジャズコンテストで最優秀賞を受賞した
- 勢喜遊はプロダンサーを目指していたが高校生の時にドラムに転向した
などの経歴は、話題を呼ぶだけでなく、彼らの楽曲のレベルの高さを裏付けることとなりました。
また、人間性が知れるという点では「ラジオ」の存在が大きかったと思います。
2019年4月に始まったラジオ「King Gnu井口理のオールナイトニッポン0」では、メインパーソナリティ井口理の、ユーモアと下ネタがあふれたキャラクターが話題となりました。バンドメンバー全員がゲストに登場したり、綾野剛がゲストに登場して一緒にカラオケをしたりと、笑いと非常に盛り上がるラジオとなりました。
King Gnuに興味を持った人が、彼らは何者なのかを調べる。そのユニークさや華々しい経歴を知ることで彼らのファンになる。
このファン化が「CEREMONY」の大ヒットの大きな要因であると言っても過言ではないでしょう。
まとめ
まとめると、私の考えは以下の通りです。
『白日』の大ヒットを受けて多くの人が興味を持った。その人たちに対し、「他の楽曲を聴く」「彼らのキャラクターを知る」「SNSや口コミでつぶやく」というユーザー体験を積極的に提供することで、King Gnuのファンが急増し、「CEREMONY」の異例の大ヒットをもたらした。
King Gnu「CEREMONY」の特徴
次に、「CEREMONY」の楽曲について詳しく見ていきたいと思います。
「CEREMONY」には、他のアルバムには見られないいくつかの特徴が見られます。それぞれの特徴から、「CEREMONY」の制作での King Gnu の「こだわり」を考察していきたいと思います。
インスト曲の存在
「CEREMONY」には『開会式』『幕間 (読み方:まくあい)』『閉会式』という3つのインスト曲が収録されています。それぞれ1曲目、6曲目、ラスト12曲目に収録されています。
また、これら3曲はすべて King Gnu の前身バンド「Srv.Vinci」の楽曲『In Tokyo』の一部分を抜粋したものになります。
今はYouTubeやストリーミングサービスでは聴けませんが、こちらから聴くことができます。9分ほどあります。
このアルバムにおけるそれぞれの楽曲の役割はタイトルの通りです。
- 『開会式』:オーケストラサウンドによる壮大なオープニング
- 『幕間』:『白日』の熱気を保ったまま次の『飛行艇』に向けて英気を養うためのインタールード
- 『閉会式』:「CEREMONY」という作品をチェロ独奏で締めくくるエンディング
こう見ると、この「CEREMONY」というアルバムは、もはや1つのショーのような捉え方もできそうです。
「式典=Ceremony」をアルバムタイトルにしたように、King Gnu 自身もただの音楽アルバムの垣根を超えた作品を作りたかったのかもしれません。そんな想いが、このインスト曲からも感じることができます。
幕間前後の曲の変化
各楽曲をよく聴いてみると、6曲目『幕間』の前後である変化が見られます。次の図をご覧ください。
…そうです。前半はすべてイントロが無く、後半はすべてイントロがあるのです。
なぜはっきりと分けたのかは定かではありません。前後で世界観をガラリと変えたかったのか、前半のラスト『白日』までスピード感を保つようにイントロが無い曲を前半に配置したのか。
どんな理由であれ、この曲順には King Gnu のこだわりを感じます。
King Gnu「CEREMONY」の収録曲を徹底解説
ここからは、「CEREMONY」に収録されている12曲を曲順に全て紹介していきます。
全曲視聴可能ですので、もし好きな曲に巡り会えましたら、アルバムを購入するか、ご自身のストリーミングサービスにダウンロードして聴きまくってください!!
1. 開会式
「CEREMONYが始まるぞ!」という高揚感を煽るような、ビッグバンド系のインスト曲。
50秒ほどしかありませんが、この曲を聴くと緊張感と高揚感がMAXまで高まります。
2. どろん
映画「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」の主題歌として起用された楽曲。
歪んだギターや、ファンファーレのようなブラスのサウンドがとにかく野生的でカッコいい。
3. Teenager Forever
ソニー「完全ワイヤレス型ノイキャンイヤホン WF-1000XM3」「ハイレゾウォークマン NW-A100シリーズ」のCMソングとして起用された楽曲。
スピード感のある爽やかなロックナンバーです。「ティ、ティ、ティ、ティ、Teenager Forever」というフレーズが印象的で、ついつい口ずさみたくなります。
4. ユーモア
スマホゲーム「ロマンシング サガ リ・ユニバース」1周年記念CMのCMソングとして起用された楽曲。
井口理の甘い歌声と、木琴の可愛らしいサウンドに癒される楽曲です。寝る前のような、のんびりとしたテンションで楽しめます。
5. 白日
日本テレビ系 土曜ドラマ「イノセンス 免罪弁護士」の主題歌として起用された楽曲。
2019年最もインパクトのあった楽曲で、「King Gnu」の名を轟かせた一曲です。
井口理の儚くも優しい歌声、跳ねるメロディ、美しいピアノやオルガンの伴奏、野生的にかき鳴らされるギター。どれをとっても最高ですし、何度聴いても痺れます。
6. 幕間
不穏な空気を醸しながらも、これからの楽曲への期待を高めてくれるインタールード曲。
7. 飛行艇
ANA「ひとには翼がある」篇のCMソングとして起用された楽曲。
一定のリズムで響く力強いバスドラムやキャッチーなメロディに一気に引き込まれます。テンポがゆっくりですがめちゃくちゃ盛り上がります。
8. 小さな惑星
Honda VEZEL「PLAY VEZEL 昼夜」篇のCMソングとして起用された楽曲。
打楽器のサウンドと井口理のボーカルの組み合わせがめちゃくちゃ心地よい。可愛らしさとオシャレさが両立した楽曲です。
9. Overflow
家入レオに提供した楽曲『Overflow』のセルフカバーバージョン。
跳ねるリズムで進行するオシャレなロックナンバー。サビがもうとにかくカッコいいです。
10. 傘
ブルボン「アルフォート」のCMソングとして起用された楽曲。
切なさと清涼感に包まれた楽曲です。調外の音の使い方が天才的で、全体の雰囲気がエモく仕上がっています。
11. 壇上
常田大希がメインボーカルを務めるバラード曲。
歌詞は King Gnu が解散した際を思い浮かべて書かれたそうで、筆者自身、終わりをほのめかしながらもどこか前向きにも感じる歌詞だなと受け取りました。バックサウンドが壮大で美しく、感動的です。
12. 閉会式
チェロが鳴り響き、歓声が湧く、オシャレでクラシカルなインスト曲。
おわりに
いかがでしたか?「CEREMONY」をもう一度聴きたくなりましたか?
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最後まで見ていただきありがとうございました!!